023|新撰組活劇「いつか何処かで〜沖田総司物語」|小説「祇園山緒挿絵「天狗の残像」新見錦イラスト

だがその時、隣の部屋から何か蹴倒すような、いや、数人の男たちの呻くような叫び声が聞こえた。

・・・隣の連中に何かあった・・・
新見は身を翻し廊下に出ようと半歩、敷居を跨いだ。
次の瞬間、新見が目にしたのは
挿絵「天狗の残像」障子越しに喉に刀を突きつけられる新見錦イラスト

新見錦の体は硬直した。
いや、自らの意志ではなく、彼の体は瞬時に突きつけられた一振りの刃によって、動くことを制止されたのだ。

そして・・・そこには沖田総司がいた。

「お・・沖田・・・」
新見の声を発するために振動する首には、まるで、それすら許さぬようにピタリと総司の刃があてがわれていた。
それでも、新見は悪夢をかき消さんとするばかりに叫んだ。

「まさかっ・・・貴様っ、彼らをっつ」
沖田総司の刀には、すでに血のりが滴り、そしてその刃より、新見錦の首に伝わるものは、鋼独特の冷たさではなかった。
温もり・・・いや、生暖かい熱を帯びていた。
それは、まさしくその刃が今しがた、人の肉を斬り、血を吸った証であった。

「貴様・・・一人でやったのか・・・連中を、一人でっつ」
新見は信じられなかった。 確かに沖田総司は、強い・・・それは誰もが認めている。
そして、自分も沖田総司の剣の腕は優れていると確信していた。
だが、まさか天狗党の中でも選りすぐりの連中を
・・・この男が 一人で斬ったというのか・・・