035|新撰組活劇「いつか何処かで〜沖田総司物語」|小説「剣戟」挿絵「沖田総司 平晴眼」「芹沢鴨 八相」イラスト

朔の闇夜と違い、煌々とした光りを放つ満月を、覆い隠した雲を持つ夜は、薄明るい。
秋の気配を感じはじめた草木も、少しずつ色を変え始める。
そして、沖田総司と芹澤鴨も少しずつ間合いを取りながら距離を空ける。

バサッ
芹澤鴨が羽織を脱ぎ捨てた。

カンッカンッ
沖田総司が下駄を脱ぎすて、後ろに蹴り飛ばす。

挿絵「神道無念流剣術 八相の構え」刀を八相に構える芹沢鴨イラスト 雨が止み、鳴き始めた秋虫も、その音色を消す。
二人の間に湿った風が流れる。
芹澤鴨が刀を抜き放ち、不用となった鞘を投げ捨てる。
そして、神道無念流の剛剣を持つ男は、鍔を口元より上げた八相の構えをとり、体を左右に半身しながらジリジリと歩を進める。

挿絵「天然理心流剣術 平晴眼の構え」下駄を脱ぎ、刀を平晴眼に構える沖田総司イラスト

沖田総司は、半身となり刀身を左に傾斜させ、相手の鳩尾の高さに剣先を合わせる。
天然理心流の平晴眼の構えである。

「沖田っ、さあ来いっつ」芹澤の怒号が、今まさに激突しようとする 天然理心流と神道無念流の戦いの幕開けを告げた。