037|新撰組活劇「いつか何処かで〜沖田総司物語」|小説「剣戟」挿絵「受け流し」 「鍔迫り合い」沖田総司、芹沢鴨イラスト

月を覆い隠す鉛色の雲が流れる。
それは、あたかもこれから幕が上がる剣劇を、月が観ようとその意思で、はらいのけるが如く雨雲が薄らいでいく。

「はっ」沖田総司が芹澤鴨の鳩尾めがけ走り込み突きを繰りだす。

ガッキン
鋼と鋼が火花を散らし激突する。
繰りだされた沖田総司の突きを芹澤鴨が引きながら鎬でいなす。
瞬時に沖田総司が後ろに引く、それを逃がすまいと芹澤鴨の眼光が追う。 次に芹澤鴨の剣が、沖田総司の眉間に向かって振り下ろされる。

挿絵「剣術 受け流し」芹澤鴨の刀を受け流す沖田総司イラスト
その斬撃を沖田総司は右肩を囲うように受け流す、そうしなければ剣勢の強い芹澤鴨の正面斬りを、まともに受け刃が折れる。
だが、その受け流しの勢いをかり、再び芹澤鴨が額を狙ってくる。 沖田総司は飛ぶように大きく後ろに引く。
再び双方の間合いがひらく。

一瞬の沈黙の後、芹澤、沖田、同時に踏み込み、同じく袈裟に斬り、斬り結んだ体勢となる。
双方譲らず、激しい鍔迫り合いとなった。

「沖田っ、やるな」芹澤がうれしそうに総司に囁く。

総司は無言で答える。

挿絵「剣術 鍔迫り合い」芹澤鴨と鍔迫り合いとなる沖田総司イラスト