004|新撰組活劇「いつか何処かで〜沖田総司物語」|小説「蜩」挿絵「沖田宗次郎」イラスト

「ホントですよ・・・ほら、覚えていますか?
私がまだ十五で、山南さんが試衛館にやって来て数ヶ月たった頃、だから・・・五年ちょっと前ですか、試衛館に剣客が試合を申し込みにきたでしょ、それを土方さんが受けて、三本のうち土方さんが、二本取ったとたんに、 相手が土方さんをやじりはじめた じゃないですか」

「武士でもないものが何が剣術だっ」とかいって

それを聞いた途端土方さんもみるみる形相が変わって・・・まずいなって思ったとき、 突然、山南さんが 相手の胸ぐらつかんで

  「おのれの剣術の未熟さも見極めれずに何を武士と言うかっ
剣術極めてこそ真の武士であるっ
ここにおる土方歳三の剣は真の武士の剣術であるぞっ

そういって 相手を一括したんですよ、かっこよかったなぁ」

「ははは、そんなことがあったな・・・」
山南敬介は懐かしそうに目を細めた。

「あれ・・・土方さん、結構感動していましたよ。
あの人こそ真の武士だ・・・って」 総司が続ける言葉に

「そうか・・・・」と照れくさそうに山南は笑った。

「ん?しかし、そういえばあの時、総司、
お前も血相を変えて木刀をもって相手に向かって行こうとしていたじゃないか・・・それにあの木刀・・・あれ、道場で一番太いやつだったような気がしたが・・・
十五とはいえお前の腕であの木刀を使って相手に打ち込んだら・・・」

「あれ?そうでしたっけ? 私も若かったんですねぇ」

しみじみと頷くふりをする総司をみて、山南は思わず吹き出してしまった。
そして心が少し軽くなった気がした。

挿絵「沖田宗次郎」木刀を持つ沖田総司イラスト