045|新撰組活劇「いつか何処かで〜沖田総司物語」|小説「豪傑の最期」

血を噴き出しながらも、起き上がろうとする芹澤鴨に、沖田総司は肩を添えた。
芹澤は何か言おうとしているが、すでに気管は血で詰まっていた。
総司は芹澤を苦しみから解放するため、刀を握る。
そして、芹澤の首筋に、峰をそっとあてがう。
「芹澤先生、先に逝かれ、閻魔天に逢われましたら、
どうぞ、お伝えください。
それがし、沖田総司房良が、御前にまかりこしましたおりには、
御詮議は無用と。
堕ちる先の覚悟は、できておりますと。
どうぞ、そのようにお伝えください。」

その沖田総司の言葉に、相槌を打つかのように、芹澤鴨は、最後の力を振り絞って総司の肩を「ぽん」と叩いた。

カシャッン
沖田総司が柄の握りを変えた。
芹澤鴨の首筋にあてがわれていた峰が刃先にかわる。

・・・・夜空に真紅の花びらが散った・・・・・・

そして、月は立会人としての役目を終えたかのように、再び鉛色の雲の中に消える。

挿絵「血」イラスト

新撰組筆頭局長、芹澤鴨

元治元年夏の京洛を震撼させる
新撰組の雄叫びを聞くこともなく散る

享年三十五。